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2011年8月30日 (火)

終わりから始まる『あの日見た花の名前を僕はまだ知らない。』

子供時代のノスタルジー好きで、これから新しい気持ちで再出発をしたいと思っている方はお薦めです。ZONEの曲もひと夏の青春を思い出させます。
めんまなかなか面白いです。(^^)

 

一言でいえば「終わりの始まり」のお話

この話は一言でいえば「終わりの始まり」(終わりから始まるという意味で)といった印象を受けた。
終わりから何かが始まるという感覚は作中の輪廻に触れている部分と一致している。

めんま(本間芽衣子)の死をきっかけにかつてその子と仲の良かった子供たちは気持ちに心に枷を課してしまった。
子供たちは成長してそれぞれの道を進んでいるかのように見えたが心の葛藤は続いており、生活に綻びが生じたまま日々を過ごしていた。
最後に芽衣子に対しての思いが満たされることでそれぞれが自分の人生を前進させるきっかけとなる。
成仏したのは芽衣子だけではなく、彼らの悶々とした気持ちも成仏させてしまったようだ。

 

子供時代を思い出させる作品

「昔はあんなに仲間たちと楽しく過ごしたのに」という気持ちが去来する作品。
あるいは子供時代を彼らのような連中と過ごす事が出来なかったと思う人は幻想めいた楽しさを夢想させるような作品だなーと思う。

特に小さい子供時代は世間的な窮屈さや学校や一般生活での挫折経験もない。
恐らくは子供たちの中で進学する段階になって自分の人生と他者の人生が別物である意識が明確に出る頃ではないだろうか。

子供の時の猶予期間が終わり仲の良い友達とも進路も別になるとまるで気持ちまで離れ離れになってしまったかのようになる。
それは現実的な学力の差によって学校が決まる事であったり(つることゆきあつ)、交友関係の変化(あなる)、価値観の多様化(やどみとゆきあつ)や引っ越しで遠方に行ってしまう(ぽっぽ)事などがあるだろう。
誰しもそうやって何度も別れと出会いを繰り返していく事だろう。

 

周りを取り巻く世間

主人公のじんたんは底辺高校に通う事になり(学力はあったようだが)、ひきこもり生活をしている。近所のおばさんや中学の同級生の視線が気になり、ゆきあつに馬鹿にされる。
あなるはPTAにラブホテルに行ったのを目撃され学校に連絡されてしまい。クラスではその話題で持ちきりに、あなるはある事ない事を陰口を言われ苦しめられる。

このように世間の窮屈さを実感させる場面がいくつかある。他の要素として細かい気持ちの機微などがあって、絵の表現も写実的な方で破綻も少ない、話も無理がない感じで感情移入がしやすかった気がする。

 

話の核となる芽衣子

この作品はすべては芽衣子が核になる事で成り立っている。恋の相手として嫉妬する対象であり、失恋、トラウマ、無気力を抱えるキッカケとなっている。その為には芽衣子が魅力的なキャラクターであり続ける必要があるだろう。

1話などから見返してみるとコロコロ表情が変わる。主人公とのやり取りも面白い。人懐っこく激しくくっついたり抱きつき攻撃をするのも小動物みたいで可愛い。全編純真無垢な存在として描かれるが意外と不自然さが少なく感じる。声優さんも上手かったと思う。

これはまた女性の視点から見ると見方が変わってくるかもしれない。


少し気になった場面

芽衣子が存在が発覚したのが11話中8話の終盤で意外と遅かった。説明をしようと思えばできただろうが、登場人物が存在しない物として取り扱った方が複雑な人間関係を描きやすかったに違いなく、旧交を温める時間をあまり与えない方が最終回は効果的なのだろう。

終盤も急な感じがあった。女同士のエゴの指摘合戦が始まり、ぽっぽの自白が始まる。
海外の反応ではぽっぽの扱いがひどいそうで、確かにぽっぽは成仏するために協力を惜しまなかったが情に熱い人柄とかぶり、こころの葛藤は多くはなかった。そして実は気楽に見えて最もショッキングな場面に遭遇した人だ。
笑い要素も強すぎてしまったようだ。

 

最後は登場メンバーたちは過去の絆を取り戻し新しい出発を始める。
芽衣子の生まれ変わりを信じる気持ちは、彼らが新たな人生を歩む意味でも動揺の意味と捉えられるのできちんとまとまった気がする。

短い話数なりに心理的な見せ場が多く見所のある良い作品だったと思う。

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